メールサーバーの構築 : 各サーバーの設定
昨日で Courier のインストールと基本的な設定は済んでいますので、今日はサーバーごとの細かい設定を行い、実際にメールの送受信ができるところまでもちこみます。
SMTP サーバーの設定
SMTP サーバーは実際にメールの送受信と各ユーザーへの配信を行うサーバーです。メール配信の最も基本的な機能を司るので、メールサーバー= SMTP サーバーのことを指したりもします。SMTP サーバーの設定は "/etc/courier/esmtpd" で行います。
SMTP 認証アルゴリズムの指定
ESMTPAUTH を指定します。とりあえず "LOGIN" を指定しておきましょう。
ESMTPAUTH="LOGIN"
クライアントの DNS 逆引きチェックを抑止する
デフォルトの状態だと、クライアントからのメール送信要求があった際にクライアントの IP アドレスを逆引きしてその正当性をチェックします。DHCP で動的に IP アドレスを割り当てている場合などは都合が悪いので、その挙動を抑止します。それには、TCPDOPTS に "-nodnslookup -noidentlookup" を指定します。もしすでに他のオプションが指定されている場合は、空白区切りでそれに追加します。
TCPDOPTS="-stderrlogger=/usr/sbin/courierlogger -nodnslookup -noidentlookup"
※"-stderrlogger" はデフォルトで指定されているオプションです。
POP3 サーバーの設定
POP3 は別のクライアントからメールを取得するためのプロトコルです。基本は古いプロトコルですので機能は制限されますが、ほとんどのメールクライアントがサポートしています。POP3 サーバーの設定は、"/etc/courier/pop3d" で行います。
認証アルゴリズムの指定
POP3AUTH で指定できます。こちらも "LOGIN" を指定しましょう。
POP3AUTH="LOGIN"
POP3 サーバーの起動を抑止
もし POP3 サーバーが必要なければ、POP3DSTART を "NO" に変更することで起動を抑止できます。POP3 サーバーが必要なら "YES" にしておきます(デフォルト)。
POP3DSTART="NO"
IMAP サーバーの設定
IMAP は POP3 と同様にクライアントマシンでメールを取得するためのプロトコルですが、POP3 よりも後発だけあってサーバーのメールボックスを直接操作できるなど、より多機能になっています。ただし、サポートするメールクライアントはそれほど多くありません。
IMAP サーバーの設定は、"/etc/courier/imapd" で行います。こちらは、とくに書き換える必要もなく、デフォルトのままで大丈夫です。もし IMAP サーバーが必要なければ、IMAPDSTART を "NO" に変更することで起動を抑止できます。
IMAPDSTART="NO"
ユーザーのメールボックスを作成
メールを受け取るユーザーは、ホームディレクトリにメールボックスのディレクトリがなくてはなりません。それを作成しましょう。メールボックスを作成するユーザーでログインし、以下のコマンドを実行します。
maildirmake ~/.maildir
courier の起動
これで準備が整いました。Courier を起動しましょう。root ユーザーでログインしなおし、以下のコマンドを実行します。
/etc/init.d/courier start
起動時にけっこう時間がかかりますが、これは初回起動時のみの処理です。次回からはすぐに起動します。
動作チェック
これでメールの送受信ができるようになったはずです。さっそく実験してみましょう!今回は、Windows 上の Thunderbird でメールの送受信を試してみました。アカウント設定は以下のようにすればよいはずです。
項目 | 設定内容 |
---|---|
アカウント名 | お好みで |
メールアドレス | ログイン名@メールサーバーの FQDN |
受信ユーザ ID | ログイン名 |
メール受信サーバ名 | メールサーバーの FQDN |
メール受信サーバの種類 | POP3 または IMAP |
送信ユーザ ID | ログイン名 |
メール送信(SMTP)サーバ名 | メールサーバーの FQDN |
このアカウントを使って、自分自身にメールを出したりしてみてください。きちんと送受信できれば、メールサーバーは正常に機能しています。ルーターのポートフォワーディングで SMTP(25), POP3(110), IMAP(143) などのポートをルーティングしてやれば(そして公開 DNS サーバーの MX レコードが適切に設定されていれば)、外部からのメールを受けることもできるはずです。
デフォルト起動の設定
きちんと送受信できているようなら、デフォルト起動に加えておきましょう。
rc-update add courier default
さあ、ついにメールサーバーが稼動しました!明日は、バーチャルドメインの設定をして、システムアカウントに関係なくメールアドレスを作成できるようにしたいと思います。
詳しくはこちらの記事をどうぞ!
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