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個人事業にかかる税金あれこれ

個人事業をはじめると、どうしても意識しなければならないのが税金です。サラリーマンなら、ほとんどの税金が天引きされるのであまり考える必要はないのですが、個人事業主ともなれば、すべて自分で処理しなければなりません。私も個人契約で仕事をすることになってから頑張って調べましたが、いやー大変ですね。源泉徴収精度のない米国などでは、すべての納税者がこんなことやっているわけですが、おかげで大半の人が税金に慣れ親しんで(?)いて、多くの起業家を生む土台になっている気がします。

そんなわけで、本日は個人事業主に課せられる主な税金についてまとめてみました。すでに事業を行っている方にとっては当たり前のことかと思いますが、そのうち独立して事業を立ち上げようという方は、参考にしていただければと思います。

なお、私もまだまだ勉強中なので、間違いや誤解しやすい表現などがあるかもしれません。そのような点を見つけた方は、ぜひご指摘くださいませ。

課税所得について

税金を考える上で、まず知っておきたいのが「課税所得」という概念です。所得税や住民税などは基本的に所得に応じて課税されるわけですが、単純に収入額に税率を掛けて税額を計算すると、いろいろな面で理不尽なことになってしまいます。例えば、商品の仕入れ値と売値の差が小さい場合、実際の利益に比べて収入額がかなり高くなるので、あり得ない税額を支払うはめになります。また、国民健康保険などに支払ったお金にまで課税されるのは納得がいきませんよね。そこで、収入額から事業のために使った金額(いわゆる必要経費)と各種制度による特別な控除額を差し引いて課税所得を計算し、それに対して課税することになっているのです。これなら、極端に理不尽な税金を課されることはなさそうですよね。まあ、すべては税率次第なので、いまの日本の税制が理不尽でないかどうかはわかりませんが(笑)。

さて、課税所得がなぜ重要かというと、もちろんこれを低く抑えることで税金や社会保険料が安くなるからです。サラリーマンなら必要経費代わりの給与所得控除や社会保険控除などを会社が勝手に計算して申告してくれるのですが、個人事業主はなにもしないと収入がほぼそのまま課税所得になり、多額の税金を払うハメになります。それを避けるためには、せっせと領収書を集め、地道に必要経費を計算して、少しでも課税所得を減らす工夫をしなければなりません。皆さんも、飲みに行ったときに飲み代の領収書をもらう知人が居るかと思いますが、それはこういうわけなのです(たぶん接待費として計上)。ちなみに、ときどき普通の食事代まで経費にしているという話も聞きますが、それはさすがに NG ではないかと。個人の生活のために使ったお金は経費になりません。監査が入らない限りはばれないでしょうが、少なくとも私はそういう人とあまり取引したくありません。個人事業は信用第一です。

ちょっと話がずれましたが、課税所得を減らす方法には必要経費のほかに各種制度による控除もあります。健康保険料などをまるまる差し引ける社会保険料控除のほか、扶養家族などに関する人的控除、医療費控除など多岐にわたっています。とても書ききれないので、詳細は国税庁タックスアンサーの所得控除税額控除などのページを参照してください。

ということで、課税所得に関してはご理解いただけましたでしょうか。それでは、次からはいよいよ個人事業にかかる税金を個別に見ていきましょう。

所得税

まずは基本中の基本である所得税から。サラリーマンは源泉徴収で勝手に引かれるわけですが、個人事業主は確定申告後に自主的に納付する必要があります。納付は確定申告書に同封されている納付書を使って金融機関から行いますが、申請すれば銀行口座からの引き落としにすることもできます。

税率は超過累進課税という方式で、課税所得が高くなると 6 段階で税率が上がります。具体的な税率はこちらのページに掲載されています。ちなみに 195 万円を超えると税率が 5% から 10% に上がりますが、あくまで 195 万円を超えた分のみが 10% になるだけです。つまり、課税所得が 200 万円なら所得税額は 102,500 円 (1,950,000 × 0.05 + 50,000 × 0.1) で、 20 万円 (2,000,000 × 0.1) にはなりません。ですので、無理をして税率の変わり目を超えないように調整することは、あまり意味がありません。よく誤解されることですので、覚えておくとよろしいかと思います。

住民税

次は住民税。所得税は国税ですが、こちらは地方税です。これもサラリーマンは源泉徴収ですが、個人事業主(というか給与所得者以外)には納付書が送付されるので、それを使って金融機関で支払います。申請すれば銀行からの引き落としも可能です。税率は、以前は所得税と同様に超過累進課税でしたが、ちょうど平成 19 年 6 月から一律 10% に変更されます。内訳は市町村民税の 6% 、都道府県民税の 4% となっています。

サラリーマンの方もよくご存知かと思いますが、住民税は後払いなので、前年度の課税所得によって税額がきまります。つまり、おもいっきり稼いだ年の翌年はえらい額の住民税が請求されます。所得に落差があるとけっこうキツイので、ご注意ください。

個人事業税

サラリーマンにはない、個人事業者独特の税金です。そして、個人的に納得いかない税金 No.1 でもあります。なんと、業種によって税率が違ったり、課税されなかったりします。具体的には、事業を開始したときに都道府県税事務所へ届け出をするのですが、そのときの書類に書いた業種によって税率が決定されるのです。例えば、ソフトウェア開発業は製造業になるらしく、こちらのページによれば、第一種事業ということで 5% という最も高い税率が適用されます。なんてこった(´Д`;。ただし、 290 万円までの事業主控除がありますので、課税所得が 290 万円を超えた場合のみ、超えた分に対して課税されます。ま、課税されるのは自分の食い扶持くらい稼げるようになってから、というわけです。納税は送付される納付書を使って、金融機関などで行います。

なお、青色申告をしている場合でも、個人事業税に関しては青色申告特別控除が適用されないことに注意してください。つまり、所得税の課税所得に青色申告特別控除額を足した額に対して個人事業税が課税されます。ここも納得いかない所以のひとつだったり。

印紙税

3 万円以上の品物を購入して領収書を貰ったとき、切手のようなものが貼られているのを見たことがあるかと思います。あれを収入印紙と呼び、印紙税という税金を納付した証拠です。印紙税は印紙税法で定められた文書に対してかかる税金で、課税対象の文書を作成した際は、必ず規定された額面の収入印紙を貼って消印をすることが義務付けられています。これを怠ると脱税となり、発覚すると本来の税額の 3 倍を払わなければなりません(悪質な場合は刑事罰もあるようです)。

課税対象となる文書や税額は非常に多岐に渡っており、簡単には把握できません。領収書のほかにもさまざまな契約書、株券、果ては預金通帳まで、これでもかと列挙されています。こちらのページがかなりよくまとまっていますので、詳細はそちらをご覧ください。

そうそう、収入印紙は郵便局で購入でき、それを文書に貼って消印を押した時点で印紙税を納入したことになります。

トラックバックをいただいた 404 Blog Not Found 様の記事によると、クレジットカード販売の領収書で、カード販売であることが明記されているものは課税対象外だそうです(国税庁の該当ページ)。詳細はリンク先ページをご覧ください。大変参考になります。

消費税

数ある税金の中で最もメジャーなものであろうかと思われます。何を買っても 5% 上乗せされるあれです。消費税の課税対象は商品の代金だけに限られるわけではなく、ほぼあらゆる売り上げにかかってきます。例えば、ソフト開発を請け負って報酬を貰った場合、その報酬からも 5% を持っていかれてしまうのです。ですので、報酬を受け取るときはきちんと消費税分を上乗せして請求しないと損をする可能性があります。まともな相手であればきちんと払ってくれると思うのですが、トラブルを避けるために契約時に確認しておきましょう。

ところで、消費税は商品の仕入れなどの必要経費にも課税されています。その上自分の売り上げからも 5% を支払ったら、流通に関わる業者の分だけ二重、三重に課税されることになってしまいますよね。これを避けるため、実際に納税する消費税額は課税売り上げの 5% から必要経費で支払った消費税額を引いた額になります。さらに、売り上げが 5,000 万円以下の場合は「簡易課税」という方式が選択でき、売り上げにかかる消費税から一定の割合を差し引くことで簡易的に消費税額を計算することができます。ああ、ややこしい。

ちなみに、前々年の売り上げが 1,000 万円を超えていなければ、免税事業者として消費税は非課税になります。つまり、少なくとも事業を開始してから 2 年間は消費税を払う必要はありません。この場合でも報酬などに消費税を上乗せして請求することはできますから、消費税分は丸儲けです。まあ、実際のところは先方が消費税額も計算した上で報酬額を決定するというだけのことでしょうが・・・。

固定資産税(償却資産税)

固定資産税というと土地などにかかるものというイメージがありますが、 PC などの機器にも適用されます。とほほ。ただし、自動車などは自動車税がかかるので固定資産税の対象からは外れます。実際の税額は、こちらのページで説明されている、なにやら面倒な計算で課税標準額というのを決定し、それに税率 1.4% を掛けた額になります。ただし、課税標準額の合計が 150 万円を超えなければ、課税対象にはなりません。

なお、購入金額が 10 万円以上 20 万円未満の資産については、 3 年間で資産償却する「一括償却資産」とすることで固定資産税の課税対象から外すことができます。これに対して、青色申告で使える 30 万円以下の即時償却の特例(こちらは購入年度にすべて経費化できる)を使うと固定資産税の対象になりますのでご注意ください。

以上、現在私が知る範囲で、個人事業主に関係する税金をまとめてみました。いやはや、知れば知るほど世の中税金まみれで嫌になりますね(涙)。ま、そう決まっている以上しかたありません。どうせならできる限り勉強して、無駄な税金を払わずに世の中を渡っていきたいものです。脱税にならない範囲で(笑)、頑張って税金を減らしましょう。

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