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WebOS の未来を模索する、ゲームプログラマあがりの Web 開発者のブログ。

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2010 年を振り返って

さあ、今年も残りあと 3 日ですね。皆様、今年も一年お付き合いありがとうございます。

本日は、今年最後の投稿として 2010 年の Web 界隈で気になったトピックをいくつか挙げて、 2011 年の動向を予想してみます。まあ、個人的にそう思っているというだけで根拠もなにもありませんが、なんらかの参考になれば幸いです。

Chrome Web Store 公開

Web、そして Web アプリケーションの発展を願う私としては、まず最初にこれを挙げずにはいられません。 Chrome Web Store は Google Chrome 上で動作する Web アプリケーションのマーケットプレイスで、有料アプリの課金にも対応しています(ただし現在は米国のみ。近々日本でも利用可能になるでしょう)。これまで収益化が非常に難しかった Web アプリケーションの世界に、 Apple の App Store のようなマネタイズ手段を提供するものです。

これまでは手軽に使える課金手段がなかったので、アイディアがあってもなかなか実現にこぎつけられないことが多々ありました。しかし、 Chrome Web Store を利用すれば、手間なく確実な課金が可能になります。もちろん課金に価するサービスを作る必要はありますが、そのためのモチベーションは大きく上がりますよね。

また、 App Store の発展を見れば、こうした課金の仕組みが利用者にとっても利益になることがわかります。手軽な課金手段が提供されることで数多くのアプリケーションが提供され、利用者はそれらの選択肢から自分に合ったものを自由に選ぶことができます。アプリケーション開発者(企業)に効率的に利益が還元される仕組みは、 Web 全体の発展にも大きなプラスとなるでしょう。

ただ、 Chrome Web Store が Google Chrome 専用というのはいただけませんね。まあ Chrome OS 絡みでとりあえずは仕方ないと思いますが、将来的にはぜひ他のブラウザにも対応してほしいところです。

Android が台頭

今年は国内主要 3 キャリアが Android 携帯を発売し、国内でも Android 熱が一気にヒートアップしました。私も先日あるご好意で Nexus One をいただいたので、試しに移行してみようと思っています。元が iPhone 3G なので、間違いなくパラダイスなわけですが(笑)

まあ私事は置いといて。これまで国内のモバイル Web は日本独自の仕様で固められていたので、海外展開などの障害となっていました。しかし、今後はその状況も変わっていくでしょう。多くのモバイルアプリが標準仕様に則って開発されるようになり、日本発のサービスが海外でも利用されるようになっていくと思います。同時に、海外のサービスも国内で使えるようになるので、モバイル Web の分野ではこれまでと質の違う競争が繰り広げられることになるでしょう。

HTML5 が実用段階へ

昨年の Google I/O で Google が本格的な取り組みをアピールして以降、常に話題に登っていた HTML5。昨年まではまだまだ話題先行という感がありましたが、今年のとくに後半あたりからは、かなり現実味を持って語られ始めたという印象を持っています。

その要因のひとつは、これまで常に足かせとなってきた IE が遂に HTML5 への対応を始めたこと。まだ正式リリースされてはいませんが、次期バージョンである IE9 は HTML5 の一部機能に対応しています。他のブラウザに比べるとまだまだですが、 IE8 以前に比べれは格段の進歩です。

そしてもうひとつは、 iPhone や Android などのモバイルブラウザで HTML5 対応が進んだこと。これらのデバイスでは、 HTML5 は既に標準機能として利用されています。例えば Google 検索では位置情報を利用した検索が可能ですし、 Gmail は Application Cache によるオフライン動作に対応している、といった具合です。また、同じことが前述の Chrome Web Store 向けのアプリケーションでも言えます。少なくとも現在は Chrome 専用になりますから、逆に言うと Chrome の HTML5 機能をフル活用できるのです。 2011 年はこれらの分野を中心にして、 HTML5 の活用が進んでいくことになるでしょう。

リアルタイム Web

2009 年は mixi アプリが正式公開されて国内でもソーシャル Web が大きくクローズアップされましたが、 2010 年はそれにリアルタイムというキーワードが加わりました。テレビで Twitter という単語を聞かない日はありませんし(とくにここ数日はよく聞きますね ^^;)、 Google Buzz、 mixi ボイスなど、類似のサービスもどんどん出てきています。ソーシャルサービス以外では、 Google Docs が(今は亡き Google Wave の技術を活用して)リアルタイムのコラボレーションを実現していたりします。

そして、リアルタイム Web を支える技術も大きく発展しています。例えば HTML5 技術のひとつである Web Socket は、 Web ブラウザとサーバーの間で双方向のリアルタイム通信を実現します。そうしたストリームデータの処理に適した Web サーバー(Tornado など)も開発が進んでいますし、 Google App Engine にはサーバーへの push が行える Channel API が追加されました。

2011 年は、これらの技術を活用してリアルタイムな情報共有をするのが Web アプリケーションのトレンドになりそうです。

日本でもクラウドインフラが普及

少し前まで国内 IaaS はたいへん寂しい状況でしたが、いつのまにやらけっこう充実してきました。 mixi アプリの高負荷対策ではニフティクラウドが頑張っているようですし、個人や小規模企業向けでもさくらの VPS をはじめとして多くのサービスがあります。

海外に目を移すと、 IaaS の元祖である Amazon は DNSVMware 仮想マシンのインポートなど矢継ぎ早に機能を追加しており、 Web アプリケーションに必要なほとんどのインフラを Amazon だけで賄えるようになっています。また、対抗する Google App Engine もデータストアの 1,000 件制限撤廃、 Task Queue の処理時間延長、インスタンスの手動起動など、ユーザーの要望に応じて機能を強化しています。

重要なデータを外部に預ける違和感は残るものの、現在ではこうしたクラウドインフラへの疑問はほとんど聞かなくなったように思います。今後はクラウドを使うかどうかではなく、目的に応じていかに適切なサービスを選ぶかということが問題になってくると言えるでしょう。

まとめ

ということで、 2010 年の主なトピックをつらつら並べてみました。全体として、この一年で Web アプリケーションを開発するための環境は大きく改善されたと思います。 HTML5 によってアプリケーションに必要な機能がほとんど実現されていますし、サーバーサイドのインフラも現実的なコストで利用できるようになっています。 2011 年はこうした環境の改善は一段落して、我々 Web 開発者がそれらを利用したアプリケーションを開発するフェーズに入ってくるのでしょう。

個人的にも、今年は本の執筆などに時間を費やしましたが、来年はそちらは控えめにして、アプリケーションの開発に力を入れたいと思っています。いくつかアイディアはあるので、まあぼちぼちやっていきます。

それでは皆様、本年はご愛顧ありがとうございました。そして来年もよろしくお願いいたします。良いお年を〜。

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