Firefox 2.0 Beta へのオススメ移行方法
昨日、ついに待望の Firefox 2.0 Beta がリリースされました。さっそく新機能をレポートしようかとも思ったのですが、それはいろいろなメディアで報じられると思いますので、この blog では少し別の角度から攻めることにしました(笑)。少し使ってみたところ 2.0 Beta はだいぶ安定しているようですが(嘘。ヘビーな Web アプリを使うと落ちますね^^;)、そこは Beta 版ですので、 1.5 に対していきなり上書きインストールするのは考え物です。正式リリースまでは 1.5 との共存環境を構築するのが無難でしょう。そこで今回は、現在使用中の環境を複製して Firefox 1.5 と 2.0 Beta が互いに干渉しない共存環境を構築する方法をご紹介します。
記事は Windows 版を前提に書いていますが、他の環境でも手順はほぼ同じでいけるはずです。
プロファイルを複製する
Firefox は、ほぼすべてのカスタマイズ内容(オプション設定、エクステンション、Cookie など)を「プロファイル」という単位で管理しています。プロファイルは複数作成でき、その場合は起動時にどのプロファイルで起動するかを選択するようになっています。これにより、例えば通常の Web サーフィンは最低限のエクステンションをインストールした軽い環境で行い、 Web 開発は多数のエクステンションの入った便利な環境で行う、といった使い分けが可能になります。
このプロファイル機能を利用すれば Firefox 1.5 と 2.0 Beta にそれぞれ独立した環境を用意できます。ただ、新しい環境を一から整えるのは面倒なので、既存のプロファイルを複製する方法をとろうと思います。ちょっと泥臭いやり方になってしまいますが、私が試した限りうまくいっているようです(^^ゞ。
プロファイルマネージャで新しいプロファイルを作る
プロファイルの作成や管理は「プロファイルマネージャ」を使って行います。プロファイルマネージャは以下の手順で起動することができます。
- Firefox のウインドウをすべて閉じる。
- スタートメニューから「ファイル名を指定して実行」を選択する。
- テキストボックスに「firefox -ProfileManager」と入力し、「OK」ボタンをクリックする。
プロファイルマネージャを起動すると、以下のようなウインドウが表示されます。
まずは新規にプロファイルを作成しましょう。「新しいプロファイルを作成」ボタンをクリックすると、「プロファイル作成ウィザード」のダイアログが表示されます。指定するのはプロファイル名だけですので、指示に従って新しいプロファイルを作成しましょう。ここでは、「NewProfile」という名前で作成したと仮定します。
プロファイルを作成すると、リストボックスに作成したプロファイルが表示されます。この時点でいったん新しいプロファイルを使って Firefox を起動させ、必要なファイルやディレクトリなどを作成させましょう。「今後このプロファイルを起動する」のチェックを外した後、新しいプロファイルをダブルクリックすれば OK です。新規作成したプロファイルですので、デフォルト状態で Firefox が起動するはずです。それを確認したら、すぐに終了させてください。
プロファイルディレクトリの場所を確認
次は、旧プロファイル(以下、プロファイル名を default と仮定します)の設定を NewProfile にコピーします。単純にすべてのファイルをコピーするだけではうまくいかないので、うまく必要なファイルのみを移さなければなりません。
作業に入る前に、まずはそれぞれのプロファイルが格納されているディレクトリを把握しましょう。 Windows の場合、プロファイルは通常以下のパスに保存されています。
C:\Documents and Settings\<ユーザー名>\Application Data\ Mozilla\Firefox\Profiles\????????.<プロファイル名>
「????????」はランダムな英数字です。他のアーキテクチャに関しては Firefox のページをご参照ください。実際に上記の "Profiles" ディレクトリを見ると、 "????????.default", "????????.NewProfile" の 2 つのディレクトリが存在するはずです。これらがそれぞれ default, NewProfile のプロファイルに対応しています。
エクステンションをコピーする
プロファイルディレクトリの場所がわかったところで、最初にエクステンションとテーマを移行しましょう。それらはいずれもプロファイルディレクトリ内の "extensions" 以下に ".xpi" ファイル、もしくはサブディレクトリとして格納されています。言い換えると、 "extensions" ディレクトリ以下にあるエクステンション・テーマが Firefox の次回起動時にインストールされます。従って、エクステンション・テーマの移行は以下の手順で行います。
- "????????.defalut/extensions" 以下のディレクトリと(もしあれば) ".xpi" ファイルを "????????.NewProfile/extensions" にコピーします。
- プロファイルマネージャで NewProfile を起動します。
- Firefox が起動し、エクステンションがインストールされます。
- エクステンションによっては設定ダイアログなどが開きますので、適切に設定してください。
- エクステンションのインストールが終了したら、 Firefox を終了させてください。
これでエクステンションを NewProfiles に移行できます。
その他の設定をコピーする
後は、その他の設定ファイルをコピーすればプロファイルの複製は完了です。プロファイルディレクトリの直下にある以下のファイルをコピーすれば、ほとんどの設定が移行できます。場合によっては存在しないファイルもあるかもしれませんので、そのようなファイルは無視してしまってかまいません。
- bookmarks.html
- cert8.db
- cookies.txt
- formhistory
- history
- hostperm.1
- key3.db
- localstore.rdf
- mimeTypes.rdf
- prefs.js
- searchplugins
- secmod.db
- signons.txt
- user.js
コピーしたら、再び NewProfile で Firefox を起動しましょう。今回は、ボタン配置なども含めて default プロファイルとほぼ同じ環境になっているはずです。
Firefox 1.5 を新プロファイルで起動するように変更
私の場合、今後は Firefox 2.0 Beta をメインに使用して、 Firefox 1.5 を不具合が出たときの緊急回避用に使おうと思っています。したがって、ここでは 2.0 Beta を従来の default プロファイルで、 1.5 を複製した NewProfile プロファイルで運用することにします。もちろん逆でも問題ありませんので、その場合は適宜読み替えてください。
Firefox 1.5 は NewProfile プロファイルで起動したいので、コマンドラインでプロファイルを指定しましょう。 Firefox は、 "-P" オプションに続けてプロファイル名を指定することで、使用するプロファイルを指定できます。従って、 Firefox 1.5 の起動に使用するショートカットのプロパティーを開き、「リンク先」を以下のように変更します。
"C:\Program Files\Mozilla Firefox\firefox.exe" -P "NewProfile"
変更後、そのショートカットをダブルクリックすると、今度はプロファイルマネージャが表示されずに NewProfile の環境で Firefox が起動するはずです。これで Firefox 2.0 Beta をインストールする準備が整いました。
Firefox 2.0 Beta をインストール
独立した 2 つの環境(プロファイル)が用意できましたので、いよいよ Firefox 2.0 Beta をインストールします。ついでに 2.0 Beta に対応していないエクステンションを無理やり動作させる方法もご紹介しようと思います。
インストール
まずは Firefox 2.0 Beta をインストールしましょう。ダウンロードページからインストーラーをダウンロードし、普通にインストールしてください。その際、 Firefox 1.5 とは別の場所にインストールするようにしてください。 2.0 Beta ならデフォルトで別の場所にインストールするはずですが、念のためカスタムインストールを選択してインストール先を確認したほうが良いでしょう。
インストール終了後、 Firefox 2.0 Beta を起動させるとプロファイルマネージャが表示されるはずです。今回は「今後このプロファイルを起動する」のチェックを入れて、 default プロファイルを起動してください。こうすれば、以降はプロファイルマネージャが表示されずに default プロファイルで起動するようになります。 Firefox 1.5 はコマンドラインで NewProfile プロファイルを使うように指定してあるので、透過的にプロファイルが使い分けられるという寸法です。
Nightly Tester Tools でエクステンションを動作させる
さて、移行完了まであと少しです。Firefox 2.0 Beta を起動させたときに気付いたかもしれませんが、多くのエクステンションが無効になっていたと思います。現在のところ、ほとんどのエクステンションが 2.0 Beta に正式対応していないためです。これではせっかくエクステンションを移行した意味がありませんね。最後の仕上げとして、それらのエクステンションを 2.0 Beta で動作するようにしてみましょう。もちろん動作する保証はありませんので、自己責任でお願いします。
エクステンションのバージョンチェックを回避する手段として、Nightly Tester Tools があります。このエクステンションをインストールすると、インストールされているエクステンションの対応バージョン番号を書き換えて強制的に有効にできます。手順は以下のとおりです。
- Firefox 2.0 Beta を起動。
- Nightly Tester Tools のページに行き、「Install Now」をクリックして Nightly Tester Tools をインストールする。
- インストールが終了したら、 Firefox を再起動。
- メインメニューから [ツール]-[アドオン] を選択し、「アドオン」ダイアログを開く。
- ウインドウ下部にある「互換性を持たせる」ボタンをクリックする。
- 「テーマ」タブをアクティブにし、同様に「互換性を持たせる」ボタンをクリックする。
- 「アドオン」ダイアログを閉じる。
- Firefox を再起動する。
これで各エクステンションが正常動作すればめでたしです。私が使用している All-in-One Gesture, CuteMenus, Google Notebook, Google Toolbar, Sitebar Client, Web Developer はすべて動作しました。もしうまく動かない場合は、残念ながらあきらめるしかありません。不具合のあるエクステンションはとりあえず無効にしておき、素直にバージョンアップされるのを待ちましょう。
私も使い始めたばかりですが、Firefox 2.0 Beta、なかなか良くできています。従来はエクステンションで実現されていた機能や Opera など他のブラウザーを参考にした機能が多数取り入れられていて、使い勝手がかなり向上しています。今回ご紹介した方法を利用すれば、従来の環境を残したまま比較的安全に試すことができますので、改良された Firefox を皆さんもぜひ体験してみてください!(^^)
詳しくはこちらの記事をどうぞ!
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