個人事業開業の手続き
先日、ついに個人事業の開業手続きをしてきました。といっても、単に税務署などに書類を提出してきただけですけどね。私の場合は従業員を雇う予定などはまったくないので、とても簡単に手続きができました。あっさり受理されて拍子抜けなくらいです。まあ、収入が一定額を超えなければ申請の必要すらないはずなので、こんなものなのかもしれませんね。
そんなわけで、本日は私の個人事業開業手続きの体験レポート(?)をお送りしたいと思います。最近、本来の趣旨から外れた記事が多くなっていて申し訳ありません。こっち系の作業が多くて、プログラミングとかに時間を割けない状況なんですよね(・・ゞ。そのうち落ち着いてくると思いますので、ご了承ください。
なお、以下の内容は前述のように従業員を雇わないことを前提にしています。雇用する予定があると雇用保険やら何やらで手続きが増えますので、ご注意くださいませ。
手続きの概要
個人事業で従業員も雇わない場合、手続きは税金関連のものだけです。したがって提出先は管轄の税務署、および都道府県税事務所になります。いずれも普通は市区町村の役所の近くにあると思いますが、税務署の場所はこちらで、都道府県税事務所の場所はこちらで調べられます。ま、 Google マップ で検索するほうが早いかもしれませんが(笑)。
提出する書類は以下の 3 つだけです。
- 個人事業の開廃業届出書
- 所得税の青色申告承認申請書
- 個人事業開始等申告書
最初の 2 つは税務署、 3 つめだけ都道府県税事務所に提出します。もし青色申告をしないのであれば、 2 番目は必要ありません。具体的な記入項目などは後ほどご紹介します。
手続きの前に決めておくべきこと
さっそく手続きに出かけたいところですが、そのまえに申請内容を決めておかなくてはいけません。通常は以下の項目を考えておけば大丈夫だと思います。
- 開業日
- 事業を開始した日付です。店舗を出すような事業なら開店日とするのが普通ですが、無店舗事業の場合は適当に決めてしまって良いようです。ただし、今回ご紹介する届け出は開業日から何日以内という提出期限がありますので、それに間に合う範囲で、かつ契約の締結などの具体的な事業活動を始める以前の適当な日付を決めておきましょう。
- 屋号
- 会社で言えば会社名にあたるものです。個人名で活動するなら必要ありません。屋号を付けない場合は、提出書類の屋号の欄は空白で OK です。
- 事業の種類
- 各種提出書類には事業内容の欄があるので、そこに書く内容を決めておきましょう。「コンピュータソフトウェアの開発」とか、その程度で十分だと思います。先日の記事で書いたように、ここに書く内容によっては個人事業税というのを徴収されます。
- 青色申告をするかどうか
- 個人事業での所得税の申告方法には、白色申告と青色申告の 2 種類があります(詳細は後述)。青色申告を選択すると帳簿付けが義務になる代わりに所得税の 65 万円控除をはじめとした特典が与えられますので、なるべく青色を選択したいものです。
基本的にはどれも事業開始前に決まっているはずのものですが、念のため確認しておいてください。
青色申告について
先ほどもちょっと出てきましたが、個人事業主の確定申告の方法には「白色申告」と「青色申告」の二種類があります。白色申告はきちんとした帳簿なしにどんぶり勘定で申告する方法で、なにも申請しなければこちらになります(本当は白色でも一定以上収入があると記帳義務が発生するのですが、きちんとやっている人は少ないようです ^^;)。これに対して、記帳が義務付けられる代わりに税制上のさまざまな優遇措置を受けられるのが「青色申告」で、主に以下のような特典があります。
- 所得から 65 万円(複式簿記を選択した場合)を差し引ける青色申告特別控除。
- 自宅兼事務所の家賃、水道光熱費などの一部を経費として計上できる。
- 3 年前までの赤字額を所得から差し引ける純損失の繰越し。
- 30 万円までの少額資産を減価償却なしで経費化できる即時消却の特例。
- 家族を雇用したときの給与全額を必要経費にできる青色事業専従者給与制度。
最初の 2 つだけでも一般的に課税所得が 100 万円前後は減るはずなので、これを利用しない手はありません。記帳の作業も会計ソフトを利用すれば簡単ですので、 PC が使える皆さんならまったく問題にならないはずです。もし個人事業を始めるときは、特別な理由がない限り青色申告の利用を考えましょう。私も以下で青色申告の申請をしています。
ちなみに青色申告の記帳方法には正式な複式簿記と単純な簡易簿記の二種類があります。簡易簿記のほうが簡単に思えますが、会計ソフトのほとんどが複式簿記を前提にしているので、むしろ複式簿記のほうが楽です。簡易簿記では青色申告特別控除も 10 万円に減ってしまうので、選択するメリットはほとんどありません。青色申告するなら、迷わず複式簿記を選択しましょう(^^)v
税務署への届け出
少し長い前置きになってしまいましたが、いよいよ開業手続き開始です。まずは管轄の税務署に行き、「個人事業の開廃業等届出書」、「所得税の青色申告承認申請書」という 2 つの書類を提出します。手続きには印鑑が必要になるので、忘れずに持参してください。本来はあらかじめ必要事項を記入した書類を用意するのが良いのでしょうが、私は印鑑だけ持って税務署に行き、「個人事業の開業届けと青色申告の申請に来ました」と伝えてその場で記入しました。初めて手続きする場合はわからないことも多いと思いますので、こうするのが無難だと思います。
そうそう、今回ご紹介する書類は、いずれも同じ内容のものを 2 通作成して両方に収受印を押してもらい、 1 通を提出、もう 1 通は控えとして自分が保管します。手違いがあったときに申請内容を証明できないと困りますので、必ず控えをもらうようにしてください。税務署で記入すれば、このあたりも含めてよきに計らってくれるはずです。
では、以下に記入内容などをご紹介します。
個人事業の開廃業届出書
最初は「個人事業の開廃業等届出書」です。これは青色か白色かに関わらず、開業日から 1 ヶ月以内に提出することになっています。届出用紙の PDF がこちらのページからダウンロードできますので、どんな項目があるかを確認しておくとよいでしょう。以下は主な項目と記入内容です。
- 納税地
- 「住所地」を丸で囲み、自宅の住所を記入します。自宅以外に事務所を構えた場合でも、とくに申請しなければ納税地は自宅になります。
- 上記以外の住所地・事務所等
- 自宅とは別に事務所がある場合はこちらに住所を記入します。なければ空欄のままで大丈夫です。
- 職業
- 私は単に自営業とか書いてしまいました。本当はもちっと詳しく書いたほうがいいかもしれません。
- 届け出の区分
- 通常は、単に「開業」のところを丸で囲むだけで OK です。
- 「青色申告承認申請書」又は「青色申告の取りやめ届出書」
- 青色申告を選択するなら「有」、そうでなければ「無」を丸で囲みます。前者の場合は次の青色申告承認申請書も提出する必要があります。
- 消費税に関する「課税事業者選択届出書」又は「事業廃止届出書」
- わざわざ課税事業者になることはないと思いますので、「無」に丸です。
- 事業の内容
- 私は「コンピュータソフトウェアの開発」と書きました。その程度でじゅうぶんだと思います.
このほか、記入する必要があるのは氏名、生年月日、開廃業日あたりでしょうか。そのほかは未記入でかまいません。
所得税の青色申告承認申請書
青色申告を選択する場合は、開廃業届出書といっしょに青色申告承認申請書を提出しましょう。こちらの提出期限は開業日から 2 ヶ月以内で、届出用紙はこちらのページでダウンロードできます。上半分の項目は開廃業届出書と共通なので問題ないでしょう。青色申告承認申請書に特有の項目には以下のものがあります。
- 事業所又は所得の起因となる資産の名称及びその住所地
- 事業所がある場合はその名称と住所を記入します。私は自宅兼事務所なので未記入で提出してしまいましたが、本当は屋号と自宅住所を書くべきかもしれません。
- 所得の種類
- たいていは「事業所得」になるはずです。
- いままでに青色申告承認の取消しを受けたこと又は取りやめをしたことの有無
- なんらかの理由で青色申告をやめると、その後一年間は再び青色に戻すことはできなくなるのですが、そのための項目でしょう。初めて申請するなら当然「無」です。
- 本年 1 月 16 日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日
- 開業日を記入します。
- 相続による事業継承の有無
- 通常は自分で新規開業するのでしょうから、「無」に丸です。
- 簿記方式
- 前述のとおり、複式簿記にしましょう。
- 備付帳簿名
- 現金出納帳、預金出納長、総勘定元帳あたりに丸をすれば良いと思います。
以上のような感じで記入した開廃業届出書と青色申告申請書は、控えと提出用の両方を窓口に提出しましょう。私のときは、軽く一瞥してポンポンと収受印を押してくれました。あまりにもあっけないんで「あ、あの、もういいんですか?」なんてマヌケ面で聞き返してしまいましたよ(笑)。
もし提出後になんらかの不都合が見つかった場合は確定申告までに連絡がきます。逆になにも音沙汰なければ承認されたということです。私はまだ申請したばかりなので本当に通ったかわからないのですが、もし文句を言われたらこの記事も修正しますので、その際はご勘弁ください。←大丈夫だったみたいです。
都道府県税事務所への届け出
税務署への届け出が終わったら、次は都道府県税事務所に出向いて「個人事業開始等申告書」を提出します。先日の記事でご紹介した「個人事業税」のための手続きですが、要領は税務署への届け出と同じです。必要なものはやはり印鑑のみで、 2 通作って片方を控えとして保管します。
届出書のフォーマットは都道府県によってまちまちですが、記入項目は住所氏名、電話番号、開業日、屋号、事業の種類といった程度ですので、迷うことはないと思います。廃業や各種変更届と共通になっていることが多いので、関係ない項目は未記入のままで大丈夫です。参考までに、東京都の申請書がこちらのページでダウンロードできます。もっとも、私が申請したときは若干違う用紙だったのですが・・・。もしかしたら市区町村レベルでもフォーマットが異なるのかもしれません。
以上で個人事業開業の手続きは終了です。ほんとうに、びっくりするほど簡単にできてしまいました。正直、私が申請した書類はよくよく見るとけっこう不備があったりしたのですが、それでも普通に通りましたし。まあ、税務署としては、税金さえ払えば細かいことはどうでもいいのかもしれません(笑)。
というわけで、私もとうとう個人事業主としての一歩を踏み出してしまいました。今後どうなるかわかりませんが、ぼちぼちやっていきます。また役に立ちそうなネタを見つけたら記事にしますね。それでは、今回はこんなところで。
詳しくはこちらの記事をどうぞ!
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