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私も執筆に参加した Chrome OS 本が発売されました!

本日、私も執筆に参加した Chrome OS 本、「Google Chrome OS -最新技術と戦略を完全ガイド-」が発売されました。私が担当したのは第一章と第四章の一部です。

Chrome OS については発表直後にもこのブログで紹介しましたが、 Google が開発している(主に)ネットブック向けの軽量 OS です。発表直後は「Google Chrome ブラウザしか動かない」ことが最大の特徴と書きましたが、その後いろいろな資料を読むにしたがい、その背後にある可能性がいろいろと見えてきました。今回、運良く本書の執筆という機会をいただいたので、そのあたりのことを思い切りぶつけています。

ということで、本日はこの Chrome OS 本について、私の担当した部分を中心に、簡単に紹介させていただきます。

Chrome OS のポイントは「ステートレス」

本書で Chrome OS の概要を書く際に、私が最も注目したのは Google が「ステートレス」と呼んでいる概念です。これは Google による記者発表で若干触れられたものの、これまでほとんど話題にはなっていません。しかし、これこそが Chrome OS の最大の特徴であり、単に「Chrome が起動するだけの Linux」ではない部分です。

あくまで私の解釈ですが、「ステートレス」というのは、場所や物理的な PC という「状態」に関係なく、ユーザーがいつでも同じ作業環境を利用できるというものです。クラウド・セントリックな OS である Chrome OS では、 PC のローカル・ストレージは単なるキャッシュでしかなく、ユーザーのデータはすべてクラウドに保持されています。このため Chrome OS では異なる PC 間で常に作業環境が同期されるのです(もちろん、要インターネット接続ですが)。

そして、この「ステートレス」な特性を支えるのが、 Chrome OS の優れたセキュリティー機構やメンテナンス・フリーなアーキテクチャです。 Chrome OS はデスクトップ・アプリケーションの排除以外にも多くのセキュリティー向上策を施しており、これまでの OS とは比較にならないほど堅牢な構造になっています。あまり書くとネタバレになるのでこのくらいにしますが(笑)、書籍内では Chrome OS がいかに我々のコンピューティングに変化をもたらしてくれるかを、できるだけ平易に解説したつもりです。

そのほかにも Chrome OS 関連の情報がいっぱい

もちろん概念的な話だけではなく、実際に Chromium OS (オープンソースの開発版 Chrome OS)をビルドする方法や使い方、関連技術の紹介、インタビューなど、 Chrome OS にまつわる内容が盛りだくさんです。

もちろん概念的な話だけではなく、 Chrome OS に関連する情報が盛沢山です。序章では在米の小池 良次氏、中島 聡氏(ブログ「Life is beautiful」でお馴染みですね)が Google の戦略について解説されていますし、第二〜三章では Linux 関連で多くの著作がある、まえだ ひさこ氏、向井 領治氏が Chromium OS のビルド方法と使い方を詳細に解説されています。巻末には HTML5 エキスパートの白石さん、 HTML5.JP の羽田野さんへのインタビューも掲載されています。

また、第四章では Chrome OS に関連すると思われる Google の技術が紹介されています。例えば Chrome ブラウザの拡張機能については API Expert の太田さんが仕組みや開発手順を詳しく解説されていますし、私の書いたものでは Native Client の紹介がけっこう面白いかと思います。技術書ではないので実際の開発方法までは踏み込んでいませんが、動作原理の解説は日本語としては最も詳しいものではないかと思います。ただ、なるべく x86 アセンブラの知識を前提とせずに書いたので、 x86 に詳しい方はやねうらお氏の解説も併せて参照されると、より納得できるでしょう。

そうそう、 Native Client といえば、先ほど確認したところ Native Client SDK のダウンロードリンクが壊れているようです。たぶん先日の x86-64/ARM をサポートする更新のせいでしょうね。最新ビルド自体は以下の場所にあるのですが、 Firefox 用のプラグインが動きませんでした。

http://build.chromium.org/buildbot/snapshots/nacl_...

実はこれ、前回の更新のときも同じようなことがあったんです。更新のたびにぶっ壊れるのはいかがなものか(泣)。このほかにも執筆時とは状況が変わっているものがけっこうあると思われるので、ひと通り調べて出版社に連絡しなければ。

Native Client のダウンロードリンクは無事修正されたようです。しかし、それとは別に内容のミスを発見してしまいました・・・ orz 。 271 ページの一番下にあるコマンドラインの実行例、正しくは以下のようになります。

cd C:\nacl\build\native_client
C:\Python26\python.exe tools/httpd.py

申し訳ありません・・・。

ともあれ、 Chrome OS や将来のパーソナル・コンピューティングについて興味のある方には楽しんでいただける本になっているかと思います。既に書店に並んでいるはずですので、手に取っていただければ幸いです。

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