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Google API Expert シリーズが電子書籍になりました

私が執筆した「Closure Library プログラミングガイド」「Google Apps 拡張ガイド」(共著)を含め、インプレスさんから発行されている書籍 Google API Expert シリーズの全 6 冊が電子書籍になりました!

Google API Expertシリーズキャンペーン - 達人出版会
http://tatsu-zine.com/api-expert

フォーマットは暗号化やパスワード等のかかっていない、素の PDF です。専用のリーダーは不要ですし、 iPhone / iPad や Android 携帯など、 PDF をサポートしたあらゆる機器で閲覧可能です。電子書籍はこうでないといけませんよね!

お値段も 2,300円〜2,800円と紙版に比べて 20% 以上割引されています。さらに、 5 月 31 日までの期間限定で、全 6 冊を 9,500 円で購入できるセットもあります。この機会に、ぜひご購入ください!

というわけで、本日は電子書籍化を記念して「Google Apps 拡張ガイド」の内容をご紹介します。実はちょうど発売日あたりから多忙になってしまって、紹介できていなかっただけなんですけど… (^^ゞ

概要


画像はAmazonへのリンクです。
PDF版はこちら

「Google Apps 拡張ガイド」は、 JavaScript のみで Google Apps を拡張する方法であるガジェット API と Apps Script を解説した書籍です。ガジェット API の解説を私が、 Apps Script を Apps API Expert の中村 敦 (@atusi) さんが担当しています。

Google Apps と連携するアプリケーションを開発する手段としては、各種の GData API を利用する方法が一般的です。しかし、 GData API の利用はそれなりに高度な知識が必要ですし、ひとつの独立したアプリケーションを構築することになるので、手間もかかります。それに対して、本書で解説しているガジェットや Apps Script なら、 JavaScript だけで Google Apps に機能を追加することが可能です。独立したアプリケーションではなく Google Apps に組み込む形になるので、 UI も機能の実現に必要ものだけで済みます。プログラミングの初心者でも、気軽に取り組むことができるでしょう。

各章の内容

ガジェット API についてはこのブログで何度も取り上げていますが、本書ではよりわかりやすく概念等を説明しているほか、ブログの記事の後に追加された新機能やより高度な機能についての解説も行なっています。そうしたブログ記事との違いも交えて、各章の内容をご紹介します。

第 1 章 Google ガジェットの概要

この章では、 Google ガジェットを開発する基本的な手順を解説しています。ガジェット XML を公開して、その URL を各アプリ(この章では iGoogle を使っています)に登録するという、皆さんご存知の手順ですね。

多少ユニークなのは、 Google Project Hosting を利用して Web ブラウザだけですべての作業を完結している点です。現在の Project Hosting には簡単なソースコード編集機能があり(キーワードの色分けもできる!)、 Web ブラウザ上でソースコードの追加・編集が可能なのです。とても便利なので、ぜひ試してみてください。

第 2 章 Google Gadgets API

ガジェット API をひと通り解説しています。このブログにあるガジェット API の解説は古い形式 (Legacy Gadgets API) のものであり、 OpenSocial 準拠になってからはまとまった解説をしていなかったので、参考にしていただけるかと思います。

また、あまり解説されることの少ない 2 legged OAuth によるサーバーとの連携方法(Ruby による簡単なサーバーサイド実装のサンプルもあります)、 gadgets.i18n による日付や数値のフォーマット方法なども取り上げています。

第 3 章 Gmail

Gmail のサイドバーガジェットとコンテキストガジェットの開発方法について解説しています。

サイドバーガジェットはとくに追加の API 等はありませんが、実例として入力した URL のドキュメントを Google Docs Viewer で表示するガジェットを作成しています。ドキュメント表示には CANVAS ビューを利用しているので、 CANVAS ビューへの切り替えのサンプルにもなっています。

コンテキストガジェットについてはこのブログでも解説しましたが、本書ではメール内容の取得方法をカスタマイズできる「カスタムエクストラクタ」の使い方も加えています。カスタムエクストラクタを利用する際は Google Apps Extension Console を利用するため、開発手順も大きく変わっています。

また、サンプルもメール中の PDF リンクなどを Google Docs Viewer でプレビューするという、より実用的なものになっています。

第 4 章 Google カレンダー

Google カレンダーのサイドバーガジェットとイベントガジェット(カレンダー上に表示されるアイコンをクリックすると表示されるガジェット)の開発方法を解説しています。

サイドバーガジェットは、以前ブログで紹介したときからさほど変わっていません。しかし、サイドバーガジェットだけではカレンダーの内容の取得しかできないので、本書では Calendar Data API を呼び出してカレンダーデータを変更する方法も解説しています。

イベントガジェットについては、イベントガジェットを追加するための ical ファイルの拡張を解説しています。

第 5 章 Google スプレッドシート

Google スプレッドシート上で使えるガジェットとして、ビジュアライゼーションガジェットと関連技術を解説しています。

ビジュアライゼーションガジェットと Visualization API のクエリーランゲージはブログでも以下の 3 つの記事でかなり詳細にご紹介しました。

本書では上記の記事の内容に加えて、既存のチャートライブラリを利用する方法やクエリーランゲージのより詳細な使い方を解説しています。とくにクエリーランゲージについては、それぞれの句の説明だけでなく、利用可能な関数や演算子の解説も入れているので、 Google Spreadsheets のデータの活用に役立てていただけるかと思います。

第 6 章 Secure Data Connector

この章では、 Google Apps for Business でのみ利用できる機能として、プライベートガジェットと Secure Data Connector を解説しています。

プライベートガジェットについては、このブログでもこちらの記事で取り上げましたね。そのときは FSCT というコマンドラインツールを使う管理方法をご紹介しましたが、本書では「Private Gadget Editor」や「Domain Gadget Directory Editor」といったガジェットを使う方法も紹介しています。これらを利用すると、 Web ブラウザ上で簡単にプライベートガジェットの管理が行えます。また、それらのツールを使って Google Sites にガジェットのカテゴリを追加し、そこに開発したプライベートガジェットを表示する方法についても解説しています。

Secure Data Connector は、ガジェットや GAE アプリケーションからイントラネット内(ファイアウォールの内側)にアクセスするための一種のプロキシです。イントラネット内の任意のマシンに SDC エージェントという Java ベースのプログラムをインストールするだけで、ファイアウォールの設定変更等をせずに Google クラウドからイントラネット内への安全な通信経路を確立します。

本書では、 SDC エージェントのインストールと設定方法、ガジェットからのアクセス方法などを詳細に解説しています。とくに企業で Google Apps の導入を考えている方には、役に立つ情報ではないかと思います。

第 7 章 Google Apps Script

最後の第 7 章は、中村 敦さんによる Google Apps Script の解説です。 Google スプレッドシートをデータストレージとして使い、 Gmail で登録できる ToDo アプリケーションや、 Google Site に埋め込める行き先一覧ガジェットをサンプルとして、 Apps Script の基本的な使い方を解説しています。

Google Apps Script は私も Amazon Route 53 の管理ツールを作るときに使いましたが、サーバーサイドの JavaScript で各種 Google Apps のデータにアクセスできる、とても強力なツールです。 Google もたいへん力を入れており、 API もどんどん追加されています。 Apps Script の新しい世界に、ぜひ触れてみてください!

付録 Hangouts API

付録として、 Google+ のハングアウト上で動作するアプリケーションを開発する例を紹介しています。 Hangouts API については公開直後にご紹介しましたが、その後に仕様が大幅に変更され、内容のほとんどが時代遅れになってしまいました orz

付録なので詳細な API のリファレンス等は掲載していませんが、新しい API に追加された、顔の上にフェイストラッキングで画像を重ねる機能の使い方を解説しています。 Hangouts API は少し前に正式公開、一般の利用者に公開可能になりました。ハングアウトのグループチャットやリアルタイム共有ステートの機能を活用すれば、これまでにないアプリケーションが開発できるでしょう。

以上、本日は書籍「Google Apps 拡張ガイド」の内容をご紹介しました。 PDF 化されて場所も取らなくなったので、他の API Expert シリーズともども、この機会にぜひご購入ください!(笑)

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