GentooLinux のインストール : VMwareTools のインストール
今回は、最初の頃に投稿した VMwareTools を GentooLinux にインストールする記事の改訂版です。実は少し前に VMware 関連の ebuild が大幅に変更され、なんと vmware-linux-tools が廃止されて vmware-workstation-tools などに細分化されました。そのために以前のインストール方法が使えなくなってしまったのです。これまでは既に VMwareTools をインストールしてあったため、新しい vmware-workstation-tools をマスクしてやり過ごしてきたのですが、先日ついに VMware Workstation の新バージョンがリリースされてしまいまして、私も VMwareTools の更新を余儀なくされてしまいました(^^ゞ
そんなわけで、私が調査した vmware-workstation-tools のインストール方法をご紹介します。以前の vmware-linux-tools はインストールにかなり手間がかかりましたが、新しい ebuild はけっこう素直にインストールできます。基本的には vmware-linux-tools から vmware-workstation-tools への更新を前提にしますが、新規インストールや vmware-workstation-tools に移行済みの場合の更新作業にも使えるように、コメントを入れています。
なお、私は GentooLinux をデスクトップ OS として使うつもりはないので、X はインストールしていません。X のある環境では若干手順が変わってくる可能性もあるので、ご了承ください。
下準備
インストール/アップデート作業を円滑に進めるため、いくつか下準備をしておきましょう。これらの作業は必須ではありませんが、やっておいたほうが無難かと思います。
カーネルの再構築
VMwareTools はカーネルドライバをコンパイルしますので、 gcc のバージョンがカーネルをコンパイルしたときのものと一致しないと不具合が起こる可能性があります。念のため、カーネルを再構築しておきましょう。ごく最近カーネルを再構築したばかりと言う場合は、この手順は省略しても(たぶん)大丈夫です。
再構築といっても、一番面倒なコンフィギュレーション作業は必要ありません。ソースをコンパイルして、バイナリを現在のカーネルに上書きすれば OK です。手順は以下のようになります(「?」は現在のカーネルバージョンに合わせて変更してください)。
cd /usr/src/linux make clean && make && make modules_install mount /boot cp arch/i386/boot/bzImage /boot/kernel-2.6.??-gentoo-r?
なお、上記では現在動作中のカーネルを上書きしてしまっていますので、万が一再構築したカーネルが動作しないと VM が起動不能になります。 VMware Workstation には スナップショット という素晴らしい機能があるので、更新作業を始める前に状態を保存しておくと良いでしょう。
ネットワークドライバの削除
新規インストールの場合は、この作業は必要ありませんので読み飛ばしてください。既に VMwareTools を利用している場合、 VMwareTools に不具合があるとネットワークが使えなくなります。念のため、カーネル標準のネットワークドライバ(pcnet32)に戻しておきましょう。こうすれば、万一のトラブルでも対処しやすくなります。
まずは念のため VMwareTools のサービスを止めます。以下のコマンドを実行してください。
/etc/init.d/vmware-linux-tools stop rc-update del vmware-linux-tools default rm /etc/modules.d/vmware
なお、既に vmware-workstation-tools に移行済みの場合は、以下のコマンドになります。
/etc/init.d/vmware-tools stop rc-update del vmware-tools default
ネットワークを停止してドライバーを変更し、ネットワークを再起動します。
/etc/init.d/net.eth0 stop rmmod pcnet32 rmmod vmxnet depmod -a modprobe pcnet32 /etc/init.d/net.eth0 start
"/etc/modules.autoload.d/kernel-2.6" を vi などのテキストエディタで読み込み、 "vmxnet" もしくは "vmnics" のエントリーを削除して、代わりに "pcnet32" を追加してください。
以上が終わったら再起動し、ネットワークが正常に使えることを確認してください。
vmware-linux-tools のアンインストール
この作業は vmware-linux-tools からのアップデートの場合のみ必要です。新規インストールの場合、および vmware-workstation-tools に移行済みの場合は読み飛ばしてください。
vmware-linux-tools パッケージをアンインストールし、削除漏れのファイルを手動で削除します。以下のコマンドを実行すれば OK です。
emerge --unmerge vmware-workstation-tools rm /etc/init.d/vmware-linux-tools rm -Rf /etc/vmware-tools/
以上が終わったら、再起動してください。これで vmware-linux-tools のインストール前の状態に戻ったはずです。
VMwareTools のインストール
それでは、本題である VMwareTools のインストール/アップデート作業に入りましょう。オープンソースではない上にカーネルモジュールが絡むため、通常のパッケージよりも少々手間がかかりますが、やってみれば難しいものではありません。順番に行きましょう。
ebuild を変更する
私が移行作業を行った時点では、 vmware-workstation-tools パッケージは 5.5.1 用のものしかありませんでした。そのため、 5.5.2 の VMwareTools をインストールするためには若干の変更が必要でした。パッケージとインストールする VMwareTools のバージョンが合致している場合には、この作業は必要ありません。
変更するファイルは "/usr/portage/app-emulation/vmware-workstation-tools/vmware-workstation-tools-5.5.1.ebuild" です。 vi などで読み込んで、 VMwareTools のファイル名を指定している部分を以下のように変更してください。
TARBALL="VMwareTools-5.5.2-29772.tar.gz"
さらに、署名を書き換える必要がありますので、以下のコマンドを実行してください。
rm /usr/portage/app-emulation/vmware-workstation-tools/files/digest-vmware-workstation-tools-5.5.1 ebuild /usr/portage/app-emulation/vmware-workstation-tools/vmware-workstation-tools-5.5.1.ebuild digest
これで 5.5.2 に対応できるようになりました。
vmware-workstation-tools パッケージのインストール
それでは VMwareTools のパッケージをインストールしましょう。 ebuild スクリプトが自動的に CD-ROM から VMwareTools の Tarball を取り出しますので、事前に VMware Workstation のメインメニューから [VM]-[Install VMware Tools] を選択し、 "mount /mnt/cdrom" などとしてマウントしておいてください。
新規インストールの場合および vmware-linux-tools からの移行の場合、 vmware-workstation-tools パッケージを新規インストールします。以下のコマンドでいけるはずです。
emerge app-emulation/vmware-workstation-tools
既に移行済みの場合は、アップデートになりますのでコマンドは以下のようになります。
emerge --update app-emulation/vmware-workstation-tools
いずれの場合もとくに質問もなく終了するはずです。
vmware-config-tools.pl を実行
パッケージがインストールできたら、次は VMwareTools 自身のインストールスクリプトである "vmware-config-tools.pl" を実行します。以下のように "-skipstopstart" オプションを付けるのを忘れないでください。
/opt/vmware/tools/bin/vmware-config-tools.pl -skipstopstart
実行中にいくつか質問してきますが、基本的にすべて Enter キーを押すだけで良いかと思います。ただし gcc のバージョンがカーネルコンパイル時と違う場合の質問だけは手動で "yes" を入力しなければなりません。その他、状況によっては私の知らない質問があるかもしれないので、念のため質問内容は確認してくださいね(^^;
動作確認・設定など
ここまでで必要なファイルはインストールされました。あとは実際に起動して動作確認を行い、再起動後も有効になるように設定を行いましょう。
ネットワークドライバ
まずはネットワークドライバの動作確認を行います。以下のコマンドを実行してください。ただし、最初の 3 つは念のために実行するだけで、おそらくエラーになると思います(もともとサービス・ドライバが起動していないため)。
/etc/init.d/net.eth0 stop rmmod pcnet32 rmmod vmxnet depmod -a modprobe vmxnet /etc/init.d/net.eth0 start
最後のコマンドでネットワークが正常に起動するようなら OK です。 "/etc/modules.autoload.d/kernel-2.6" を編集し、 "pcnet32" を削除して代わりに "vmxnet" を追加してください。これで次回起動時には VMwareTools のドライバが起動するようになります。
vmware-tools サービス
最後に、 vmware-tools サービスの起動確認・設定を行います。このサービスは共有フォルダ機能をはじめとした VMwareTools の機能を利用するために必要です。まずは実際に起動してみましょう。
rm /etc/vmware-tools/not_configured /etc/init.d/vmware-tools start
"not_configured" ファイルがあるとサービスが起動しませんので、手動で削除しています。本来は "vmware-tools-config.pl" が削除するものだと思うのですが、なにかうまくいっていないようです(^^;。 2 番目のコマンドでサービスが正常に起動したら、デフォルト起動に加えておきましょう。
rc-update add vmware-tools default
これで VMwareTools のインストール・アップデートは終了です。おつかれさまです!(^^)
再起動
あとは再起動すれば新しい VMwareTools の環境で起動するはずです。以下の手順で行うと良いでしょう。
- "umount /mnt/cdrom" を実行。
- VMware Workstation のメニューで [VM]-[Cancel VMware Tools Install] を選択。
- "shutdown -r now" を実行。
本日は VMwareTools のインストール・アップデート方法をご紹介しました。 VMwareTools をインストールすると、ネットワーク処理が軽くなるほか、共有フォルダなどの便利な機能も有効になります。まだインストールしていない方は、ぜひ挑戦してみてください。
詳しくはこちらの記事をどうぞ!
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